特集:地域エネルギー自治とは② 二回にわたって、僕の研究テーマについて特集するシリーズ「地域エネルギー自治とは」。前回は日本の電力事業の歴史と地域エネルギー自治に関連する先行研究について整理しました。2回目の今日は、前回整理した電力事業の歴史と「地域エネルギー自治」に関する先行研究を踏まえて、「地域エネルギー自治」的な自治とは何か、そしてエネルギー自治の先にある地域の姿はどのようなものなのか、考えていきたいと思います。 まずは、地域エネルギー自治の根幹となる地域エネルギー政策について、国内先進事例といわれている長野県の政策を確認し、整理していきます。1.地域エネルギー政策 地域エネルギー政策の先駆けとしてよく紹介されるのが長野県の環境エネルギー戦略です。僕は三...2020.06.11 09:00地域学の種子地域創造ってなんだろな
コロナ禍の就活~地方にチャンスがやってきた~ 今回はこれまでとは全く毛色の違うコラムです。コラムというよりは、単に私が今感じていることを綴るだけのつぶやきといった方が適切ですね…。なので今回のコラムは重要ではないので読み飛ばしていただいても結構です。 何を隠そう、私も大学の学部4年生でありまして、就職活動をしていた身です。私個人はは運や機会に恵まれ、第一志望の企業様に内々定を頂く事が出来ました。内定者の方々とオンライン上で初めてお会いした時は、「なんで自分なんかがこの会社に入れたんだ?(笑)」と思うくらい優秀な方々ばかりでした。今のうちに彼らに追いつけるよう、本腰を入れて勉強しなきゃなぁと思った次第です。 今年の就活は、かなりイレギュラーな動きを見せているように思います。コロ...2020.06.02 11:00地域創造ってなんだろなつぶやき就活
原子力発電~賛成反対の二項対立を超えて~ 「あなたはこの意見に賛成ですか、反対ですか?」このような質問を時々耳にすることはありませんか? こう聞かれたとき、「私はこういう理由から、賛成でも反対でもなく、慎重に検討するべきだと考えます」と答えると、歯切れが悪いからどっちかにしろ、などと指摘されることもしばしばあるのではないでしょうか。 僕はこういった「賛成か反対か」の二項対立的な議論は意味がないと考えています。もちろん、賛成と反対両方の立場を考えて、自分の考えをより深化させるという意味では、二項対立的な発想も有用です。しかし、対人的な議論の場においては、賛成か反対かを明確に分けるやり方は対立を生むだけで話が前に進まず、硬直してしまうため非生産的といわざるを得ないと思います。...2020.02.06 09:00つぶやき地域学な本棚
地域づくりの経済学入門 大学入学前から僕が常々考えているのは、地域づくりを論理的に進めていかなければならない、という事です。単に地域活性化やコミュニティづくり、地方創生といってもその内容は様々です。大学の講義では地方創生や地域再生、地域活性化というスローガンを掲げ、具体的な施策は穴おぼこだらけのお粗末なもの、という例も少なくないと聞かされます。僕も講義やゼミ、個人的な調べ物でいくつかの事例を見てきましたが、これはちょっと……と思うものが時々出てくるものです。ただ、そうした失敗例が表沙汰になることはほとんどありません。 理由は単純で、人間は失敗から学ぶ生き物ですが、同時に自分の失敗を知られることも嫌う生き物でもあるからです。地域づくりにおいても、様々な成功...2020.01.16 05:50地域学な本棚
地域にとってより良いエネルギーとは…? 学部三年生になって毎日のように考えている事。それは「地域にとってより良いエネルギーの在り方とは何なのか」という事です。四年生まで三ヶ月を切る今、卒業研究にもかかわってくる事なので、そろそろ一つの結論を導き出したいところですが、調べれば調べるほど分からなくなるのが世の常。一つの解というものが存在しない問題であるだけに、苦労は絶えません。 今回はそんな僕の悩みを皆さんと共有したいと思います。皆さんもこれを読んで、より良い地域のために、地域社会や国際社会の持続的発展のために、エネルギーという視点から一緒に考えてみませんか……? φ(..)2020.01.14 01:30つぶやき地域学の種子
特集:地域エネルギー自治とは① 皆さんはある言葉の定義づけを行った事はありますか? 言葉の定義と言うものは大学での学びにおいて非常に重要です。特にレポートや論文を書く上では、自分が使用する単語の定義をしっかりと整理したうえで、議論を展開しなければなりません。言葉の定義が曖昧なままでは論文全体を統一する軸が脆くなり、説得力も弱くなるからです。僕の専門である「地域学」の分野ではこの「言葉の定義」が、しばしば講義で話題になります。 例えば「地域」という単語です。「地域」と言われて皆さんはどれくらいの範囲を創造されるでしょうか。僕が「地域」という際は多くの場合、市町村レベルの基礎自治体が治める範囲を指します。ところが人によっては都道府県単位で使ったり、北陸や関西、本州な...2020.01.03 09:00地域学の種子グローバルな地域学地域創造ってなんだろな
なぜ地域活性化が必要なのか 長らくお待たせしました。また本来の投稿ペースを取り戻す算段が付いたので、本日より投稿再開です。今回はウォーミングアップも兼ねて、溜まっていた下書きいくつかブレンドして消化していこうと思います。今回はちょっとブログっぽい文体です! さて、以前友人にこんなことを言われたことがあります。「なんで地方創生なの? 極端な話、人類は地球にとって悪いことばかりしてる。遠い将来人類の数が減っていくのは寂しいことかもしれないけど、仕方のないことなんじゃない?」 そう、確かにその通りです。人類は産業革命以降の数百年間で地球にとって害となることをたくさんしてしまいました。温室効果ガスの排出、フロンガス、過度な森林伐採、動植物の乱獲。これらの問題はもちろ...2019.12.18 11:02地域創造ってなんだろなつぶやき
信州はエネルギーシフトする~長野県の地域エネルギー政策~ 中々週一本以上という投稿目標が達成できておりませんので、今週は「エイヤッ!」という気持ちで二本投稿してみます! 以前、長野県飯田市の太陽光発電事業に関するコラムを書きましたが、今回はそれにも少し関連して、長野県の行政の取り組みや、長野県を支える様々なアクターについて、「信州はエネルギーシフトする」(著:田中信一郎)という本を基に紹介したいと思います。コラムの内容は三分の一ほどは本の内容、残りは本の内容を踏まえた僕の考え、という配分になっています。1.エネルギーシフトとは この本の筆者、田中信一郎氏は2011年に特定任期付職員として長野県に採用された方です。彼は長野県で2011年4月に新設された環境部温暖化対策課の企画幹(長野県独自...2019.07.23 01:29地域学の種子地域学な本棚
日本のエネルギー全体動向 参議院議員選挙が終わりました。選挙期間中、どうにもエネルギー政策について言及している政党は少なかったようで、この分野を研究している一学生としては少々不満を感じてしまいます。年金を始め社会保障や増税に世間の注目が集まっているのは分かりますが、世界的に大きな問題とっているエネルギー政策についても、もう少し議論が起こっても良いのではないでしょうか。日本でも原発という問題があるわけですし、争点になっても良いと思っていたのですがね…。 まぁそれはそれとしまして、今回は僕が研究を始めてから今日までの間にエネルギー分野で注目すべき動向について、その一部を紹介します。エネルギー分野は刻一刻と変化しているため、こうした最新の動向についても目を光らせ...2019.07.10 05:41つぶやき
バイオマス利用先進自治体まとめ(概要版) 日本で地域活性化の手段の一つとして注目を集めているバイオマス。今回はその中でも岡山県西粟倉村、真庭市、北海道下川町の三つの事例を紹介していきながら、日本のバイオマスの展望を見ていきたいと思います。なお、今回のタイトルに「概要版」とある通り、これから書く内容は、各自治体の総合計画(地方自治体の行政運営上、最上位にあたるもの)などからザーッと情報の上澄みを抜き取っていったものになりますので、その点はご承知おきください。より詳細な部分については別のコラムで、他の自治体の取り組みと比較研究する際に掘り下げていきたいと思います。0.そもそもバイオマスとは まずはバイオマスの定義についてです。国が定めるバイオマス活用推進基本法では、バイオマス...2019.07.04 09:00地域学の種子
地域分散型エネルギーシステムとは 今世界中でエネルギー分野の変革期が到来しています。これまでのような枯渇性資源に依存した電力システムではなく、持続可能で環境に配慮したエネルギーシステムがヨーロッパ、特にドイツを先頭に整備されようとしているのです。日本でもFIT(固定価格買取制度)の見直しや電力会社の送配電部門の分離など、電力システム改革が進みつつあり、関連法の整備も進行中です。今現在僕も数冊の本を読みながら勉強中ですが、今回はその中でも「地域分散型エネルギーシステム」とい本を読んだうえでのコラムになります。 今回はの大きなテーマはエネルギーシステムです。キーワードは「分散型エネルギー」。これまで国の事業であった電力事業が地方自治体の事業に代わっていくのではないか、...2019.06.18 11:00地域学な本棚地域学の種子
エネルギー自治最前線!~長野県飯田市~ 日本は環境分野で大きく世界に後れをとっているというのはこれまでにも言ってきたとおりですが、そんな中でも国内には再生可能エネルギーの導入などに積極的に取り組み自治体がいくつかあります。今回はその中でも特に有名な長野県飯田市の事例をまとめてみたいと思います。 そもそも、僕がこの長野県飯田市の事例に行き着いたのには自分自身の関心があります。元々地域づくりに関心があった僕は大学で環境分野、特にエネルギー関連と「地方創生」の繋がりに関心を持ち、再エネ等の導入によって地域が環境的にも経済的にも持続可能性を高めることができるのではないかとの考えを持つに至りました。そんな中、とある授業で長野県飯田市の事例が紹介されたのです。最初に授業で聞いた時は...2019.06.06 14:31地域学な本棚地域学の種子地域創造ってなんだろな