原子力発電~賛成反対の二項対立を超えて~ 「あなたはこの意見に賛成ですか、反対ですか?」このような質問を時々耳にすることはありませんか? こう聞かれたとき、「私はこういう理由から、賛成でも反対でもなく、慎重に検討するべきだと考えます」と答えると、歯切れが悪いからどっちかにしろ、などと指摘されることもしばしばあるのではないでしょうか。 僕はこういった「賛成か反対か」の二項対立的な議論は意味がないと考えています。もちろん、賛成と反対両方の立場を考えて、自分の考えをより深化させるという意味では、二項対立的な発想も有用です。しかし、対人的な議論の場においては、賛成か反対かを明確に分けるやり方は対立を生むだけで話が前に進まず、硬直してしまうため非生産的といわざるを得ないと思います。...2020.02.06 09:00つぶやき地域学な本棚
地域づくりの経済学入門 大学入学前から僕が常々考えているのは、地域づくりを論理的に進めていかなければならない、という事です。単に地域活性化やコミュニティづくり、地方創生といってもその内容は様々です。大学の講義では地方創生や地域再生、地域活性化というスローガンを掲げ、具体的な施策は穴おぼこだらけのお粗末なもの、という例も少なくないと聞かされます。僕も講義やゼミ、個人的な調べ物でいくつかの事例を見てきましたが、これはちょっと……と思うものが時々出てくるものです。ただ、そうした失敗例が表沙汰になることはほとんどありません。 理由は単純で、人間は失敗から学ぶ生き物ですが、同時に自分の失敗を知られることも嫌う生き物でもあるからです。地域づくりにおいても、様々な成功...2020.01.16 05:50地域学な本棚
信州はエネルギーシフトする~長野県の地域エネルギー政策~ 中々週一本以上という投稿目標が達成できておりませんので、今週は「エイヤッ!」という気持ちで二本投稿してみます! 以前、長野県飯田市の太陽光発電事業に関するコラムを書きましたが、今回はそれにも少し関連して、長野県の行政の取り組みや、長野県を支える様々なアクターについて、「信州はエネルギーシフトする」(著:田中信一郎)という本を基に紹介したいと思います。コラムの内容は三分の一ほどは本の内容、残りは本の内容を踏まえた僕の考え、という配分になっています。1.エネルギーシフトとは この本の筆者、田中信一郎氏は2011年に特定任期付職員として長野県に採用された方です。彼は長野県で2011年4月に新設された環境部温暖化対策課の企画幹(長野県独自...2019.07.23 01:29地域学の種子地域学な本棚
地域分散型エネルギーシステムとは 今世界中でエネルギー分野の変革期が到来しています。これまでのような枯渇性資源に依存した電力システムではなく、持続可能で環境に配慮したエネルギーシステムがヨーロッパ、特にドイツを先頭に整備されようとしているのです。日本でもFIT(固定価格買取制度)の見直しや電力会社の送配電部門の分離など、電力システム改革が進みつつあり、関連法の整備も進行中です。今現在僕も数冊の本を読みながら勉強中ですが、今回はその中でも「地域分散型エネルギーシステム」とい本を読んだうえでのコラムになります。 今回はの大きなテーマはエネルギーシステムです。キーワードは「分散型エネルギー」。これまで国の事業であった電力事業が地方自治体の事業に代わっていくのではないか、...2019.06.18 11:00地域学な本棚地域学の種子