なぜ地域活性化が必要なのか

 長らくお待たせしました。また本来の投稿ペースを取り戻す算段が付いたので、本日より投稿再開です。今回はウォーミングアップも兼ねて、溜まっていた下書きいくつかブレンドして消化していこうと思います。今回はちょっとブログっぽい文体です!


 さて、以前友人にこんなことを言われたことがあります。
「なんで地方創生なの? 極端な話、人類は地球にとって悪いことばかりしてる。遠い将来人類の数が減っていくのは寂しいことかもしれないけど、仕方のないことなんじゃない?」

 そう、確かにその通りです。人類は産業革命以降の数百年間で地球にとって害となることをたくさんしてしまいました。温室効果ガスの排出、フロンガス、過度な森林伐採、動植物の乱獲。これらの問題はもちろん、人類が反省し、克服していかなければならない課題です。特に環境問題を専門的に扱っている僕としては、これらの課題に対していかに地域として取り組むべきか、考えていく必要があります。


 なぜ地域活性化をしなければいけないのか。僕なりの答えの一つは「人類の多様性を守るため」です。

 多様性の喪失は「寂しい」という以上に人類の存在そのものに暗い影を落とすかもしれません。私たちは、自分とは異なるものを見ることで、興奮し、学び、成長します。人類は多様な文化と触れ合う中で、異文化に対する寛容性、優しさを育みました。一つの価値観に縛られず、様々な視点から世界を見つめることができるようになったのです。そのような学びの機会が、地域の衰退から引き起こされる文化の多様性の消失によって、失われてしまうのではないか。そうなった時、人々の心は明るい未来に向け成長することができるのでしょうか。


 もう少し具体的に考えていきましょう。人口が減れば消滅する地域が生まれます。一つの地域が消滅すれば、その土地で受け継がれてきた文化も、伝統も、風景も、たとえ記録に残していたとしても、いずれは人類の記憶からは消えてしまいます。文化の多様性は価値観の多様性です。異文化理解が重要なのは、文化によってタブー視されるものや大切にされているもの、つまり価値観が全く異なるからです。価値観の多様性は様々な考えを持った人材を世の中に送り出します。経営学的に見ると、この価値観の多様性は生産性の向上や技術革新に必要な要素です。ダイバーシティ・マネジメントが企業において重要とされるのもこうした理由があるからこそなのです。

 また山間農村地域には様々な生きた知恵も残されています。いわゆる「民俗知」というやつです。田舎のおじいちゃん、おばあちゃんは今でも道端や山の中で食べられる植物、薪として燃やしやすい木、シカやイノシシの通った跡などを造作もなく見つけてくれます。これらは生きた知恵です。日本は輸入大国ですが、近い将来、紛争などで輸入がままならなくなる可能性もゼロではありません。そうした危機を回避するための術を田舎のおじいちゃん、おばあちゃんは知っています。


 こうしてみると地域文化が消滅すればするほど、人類の多様性は失われ、文明の発展速度も減速してしまうかもしれない、という危機感が現実的になりはしないでしょうか。端的に言えば、多様性は人類の進むべき道の選択肢を増やしてくれるものと言えるのではないでしょうか。そしてその多様性の源泉となっているものこそ、地域文化であり、地域活性化と言う旗印の下、守るべきものと言えるのです。



 企業経営において多様性が重要なのは言うまでもありませんが、その背景に地域文化があるという研究はまだ多くありません。人類の文明の発展と文化の多様性の間の関連性についてはまだまだ研究が必要だと思います。今日書いた内容は、ある種夢物語のようでもあるため、同様の文章を読む際には注意が必要です。多様性という一見大切な事柄を利用して、自分たちが利益を得られるよう誘導するような手法は後を絶ちません。

 ただ、僕自身は文化の多様性が失われることに対して危機感を持っていますし、人類にはもっと長生きしてもらいたいと思っています。地球温暖化によって、ともすれば僕達の世代が死ぬ前に人類が絶滅への道を歩み始めるかもしれないという時代にあって、多様性を育む地域文化へ少しでも人々の関心が向くことを願わずにはいられないのです。

地域学・どっと・こむ

金沢大学地域創造学類にて地域づくりについて本気で学ぶ現役大学生です。発展途上のサイトでまだまだ試行錯誤しながらですが、月に数本のコラムを投稿し、地域について考えるきっかけやアイディアが生まれるきっかけを創っています!

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