いなかの星空

 先日、この春から地元から離れた高校に進学した弟に色々と話を聞いてみた。弟は、家から車と電車を乗り継いで1時間半ほどの所にある公立の進学校に通っている。彼の通う高校は、都会というほどではないけれど、住宅街やショッピングモール、映画館なんかもある、いわゆる発展した町の中にある。やはり、利便性は良いようだった。バスも通っているし、電車も一時間に数本来る。通学の行き帰りには適当なところで買い物ができるし、塾も多い。生活するうえで不便さを感じることはほとんどないようだ。電車は一時間に一本、スーパーまでは10キロ近くある地元とは大違いだ。

 しかしその反面「時間に追われた生活をする人が多い」と弟は言う。交通機関が充実しているなら、時間を気にせずのんびり生活して良いようにも思うのだが、なぜかみんな、せわしなく動き回る。本当に不思議なことだ。私は地元の高校に通っていたが、それほど時間に縛られた生活をしている友人は少なかった(いや、居なかったのではないか?)ように感じていた。電車は一時間に一本しかこないにも関わらず…。

 最後に一つ、弟は心苦しくなったエピソードを教えてくれた。入学直後の、オリエンテーション合宿での出来事だ。集団行動などの練習をしクラスの親睦を深めつつ、高校生活にスムーズに入らせる狙いから行われるこの行事は、大抵スキー場などのレジャー施設の宿を借りて行われる。当然、自然に囲まれた環境だ。

 夜、友人達がこう言ったそうだ。

 「すげ〜、めっちゃ星綺麗!」

 弟は思ったらしい。

 「家から見えていた星の方が綺麗だったけどなぁ」と。

写真提供:楓雪

[R]

地域学・どっと・こむ

金沢大学地域創造学類にて地域づくりについて本気で学ぶ現役大学生です。発展途上のサイトでまだまだ試行錯誤しながらですが、月に数本のコラムを投稿し、地域について考えるきっかけやアイディアが生まれるきっかけを創っています!

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